
著:たくみ けいすけ
少年時代
第10話 日記
私はよっぽどの貧乏性なのか、商品を買う前に、なんとか自分で作れないかと考える癖がある。自分で作れば、自分独自の物ができあがるし、なんと言っても安上がりである。
今までに、フライは勿論、ルアーでは、スピナーベイトに始まって、クランクベイト、ペンシルベイト、ポッパー等のウッドプラグ、3枚の透明な羽を持ち水面をキラキラ回転しながら魚を誘うトップウォータープラグ、シーバス用のリップのないシャローランナー、そして、リアルなミノーといった具合いでイミテーションルアーを製作したり、自分なりの発想をめぐらして完成させたものも結構多い。
試行錯誤と失敗の積み重ねを経て納得のいく物ができた時の喜びは、他に変えがたいものがある。
さて、私はただ単に、どこにでもいる釣り好きな人間である。
釣りの目的は、魚を釣る事である。
つまり、いくら上手なキャスティングを修得しようと、また、どんなに本物そっくりのフライをタイイングしようとも、魚が全く釣れないのならば、誰だっていずれロッドを投げ捨ててしまうに違いない。
魚が一匹もいない所には、誰一人として釣り人は存在しないという事実を想定すれば、現実的にも明らかであろう。
では、どうしたら魚とより多くめぐり会えるのか。
それなりのテクニックも大事だが、同じくらい重要視したい側面として、私は情報収集の大切さを挙げたい。
川の状態や湖の水位、最近の釣果等を事前に調べておくと、タックルや狙い方も違ってくるし、何かと有利だし、ミスも最小限に防げる。
情報収集の方法はいろいろとあると思うが、新鮮な情報でないと役に立たない。
私の場合、いきつけのプロショップで話をしたり、電話で尋ねたりして参考にさせて頂いている。

プロショップには、お客さんからたくさんの情報や、ときには剥製用の魚さえ持ち込まれる。
人間を媒介にして魚の情報が伝わっていくので、後は自分自身の見極めが必要になるのだが、情報はやる気を拡大し、期待感を生み出す。
しかし、情報を他人に頼ってばかりいていいのだろうか。
判断基準を自分の釣りの中にも見つけ出したいという参考程度の考えから、私は釣りに行くたび、できるだけ詳しく日記として残すようにしている。
ページをめくれば、自分の失敗を反省する事もできるし、写真や他の情報を載せたりして、結構私としては有効に活用しているつもりである。
また釣りとともに変化していく自分自身をたどるのも、少々照れくさいが懐かしく、感慨深いものである。
アウトドアという言葉も一般的になりすぎてしまい、フライマンやルアーマンの姿も以
前よりグッと増えたように思える。
良心的なプロショップがあるかと思えば、逆に、不親切なプロショップも少なくない。
釣りに行かないオーナーが経営するプロショップさえあるし、儲け主義に走っている店もある。
単純に釣りを楽しもうと思う純粋な人間にとって、淋しい限りである。
私は一九八四年の夏より、詳細な記述を心がけながら日記を付け始めた。
その記述をたどりながら、事実をもとに、以降、話を続けていきたいと考える。