
著:たくみ けいすけ
1985年
第15話 遠賀川
下筌ダムのヤマメは、私たちにとってスズキが釣れなかったはらいせだったかも知れない。今年こそは、何とかしたい。
スズキ狙いの面白いところは、釣行データをもとにポイントを絞り込み、より確率の高い釣りを求める点にあるように思う。
つまり、釣り場の地形、季節、潮時を基本的な目安として、自分なりに細かなデータを分析していく。
水中の障害物、排水口、照明、水温、天候の変化による川の水の流れ、小魚の状況、そして干満の時刻などを十分考慮して、いつ、何時から、どのポイントで、どのルアーを使うか等を決定していく。
詳細なデータを収集するには、近場でないと、交通に要する時間を考えても無理が生じる。
私の住む家のすぐ裏には、川が流れている。
その川を北上して辿れば、やがて遠賀川となり、響灘へと注ぐ。
そして、私たちはこの川の河口をスズキのポイントと決め、早速釣りに出かけるのだった。
一匹釣れれば、いや、一匹釣れたのを確認すれば、不規則に絡み合ったたくさんのデータを、まるでドミノ倒しのように、一本の太い線として、関連性を導き出せるはずである。

実績がないのは苦しいが、反面、データ分析の楽しみという側面も持ち合わせているのが、シーバッシングではないかと私は考えていた。
早速、私は遠賀川河口の詳細な地形図を手に入れ、ポイントの紙上分析を始めた。
4ケ所ほど、攻めてみたいポイントを決め、タックルをトランクに放り込み、車を目的地へ走らせた。
40分ぐらいで到着すると、自分なりに設定したポイントを明るいうちに調べ、実際に自分の目で見て、最もヒットしそうな場所で駐車し、トランクを開けた。
この日は、まず下調べ程度にとどめ、帰宅した。
1月26日、「ヤマメ研究会」の5人で遠賀川へ出かけたが、案の定魚の姿を見る事はできず、全員疲れた表情で家へ帰った。
その後、懲りずに数回訪れてはみたが、私たちは失望だけを持ち帰った。